AMH0.37、離婚ではなく不妊治療を選択した話

夫婦のことや日々思ったこと

前回のあらすじ

夫に拒否され続け長期レスで妊活が進まない中、それでも❝ 子どもが欲しい ❞という思いから、「念のため」で受けたブライダルチェック。その結果に、後悔と不安で押しつぶされそうに。先生から不妊治療を勧められて、絶望の中 診察室を出る。

AMH 0.37で放心状態…頭の中はタラレバの嵐

3月10日。検査結果を聞き終え診察室を出て会計を待つ間、私は涙目でした。本当に絶望。

もしかしたら子どもを産むことは出来ないかもしれない。

もちろん、AMHは卵の数を表すものなので、質は分かりません。AMHの数値が低いからといって妊娠しないわけでもないですし、妊娠率が低くなるわけでもないです。そう頭ではわかっていてもです。それでも、軽い気持ちで結果を聞きにきた自分にとって、とてもショックなことだったのです。

0.37という数値は40代半ばの平均値なのです。その年齢で妊娠する確率は低いでしょう。もちろん妊娠する方もいますし、それは分かります。分かってはいますが。。。

自分にはもう時間がない。なぜもっと早く動かなかったのか。もっと早く検査していればー。あの時問題と向き合っていれば。

頭の中はタラレバの嵐でした。うじうじ悩んで問題の先送りをしていたせいで、私は子どもを持つことが出来ないかもしれない。。。

もし何の問題もなければ、離婚して婚活して再婚して妊活する、そういう未来も選べるかもしれない。安心材料を得られれば離婚を選択する勇気も持てるかも、そう思ってブライダルチェックを受けた部分もあったので、そんな猶予はないかもという意味でも絶望でしたね。

離婚から再婚まで、一体どれだけの時間がかかるのか…そもそも再婚できるとは限らない。

なんならこの結果を聞いて、捨てられるのは私の方かもとも思いました。

男性なら後何年も自分の子どもを持つことはできるでしょう。私と離婚してもっと若い子と結婚すればいい。でも私は親になる夢は諦めることになるかも。そんなマイナスな思考に一気に引き込まれていきました。

もし今、将来子どもが欲しいと思っている方がいれば、安心するために検査をして欲しいと思います。

何もなければそれが分かっただけで検査の意味があります。不妊に悩んでいる方もすぐに病院に行ってもらいたいです。

悩んでいることに使っているその時間は限りあるもので、本当に尊いものなのです。

「隣の芝生は青い」自分とは真逆の立場の人に、醜い心が剥き出しでネガティブ全開

会計中にクリニックに予約なしで訪れた20代前半と思われる女性が、私の隣で受付をしていました。「アフターピルを処方してほしい」と彼女は言いました。

この時、「あぁ、この人は若くてセックスもできて妊娠も簡単に出来るんだろうな」と、自分にないものを持っている彼女を羨ましいと思うのと同時に、

「妊娠したい自分には巡ってこないチャンスはこの人にとっては不要なものなのだな」と、

不公平に感じました。もちろん彼女にも色々な事情があってのことでしょうし、経緯は全くわかりません。アフターピルを否定するわけでも、彼女を否定するわけでもないです。

でも悲観的になった私は自分との状況の差に、彼女を冷ややかな目で見てしまったのでした。

クリニックを出てもなんだか力が湧かず、クリニックが入っているビルの1階の椅子に座り、30分は立てませんでした。

その30分の間にAMHについて、不妊治療についてなど検索し続けました。

それでもこれからどうすればいいのか答えが出ず、とにかく帰ろうととぼとぼと歩き出しました。

不妊治療の書籍から、わずかな希望を得られた

帰る途中、何となく真っ直ぐ帰りたくなくて、ふらっと本屋に立ち寄りました。

妊娠した人が読む某有名雑誌が、書店の目立つところに置かれていて目にした瞬間に胸がチクッと痛みました。「私がこの本を買うときは来るのだろうか。」

当たり前にセックスをして当たり前に妊娠して当たり前に母子共に健康で…

世の中にはそういう人が沢山いて、自分自身もそういう未来があるとずっと思い込んでいました。でもそれは、実はほんの一握りの人にしかこない幸運なのかもしれません。

その場を離れ、人気の少ないところにある不妊関連の本の棚に向かい、この不安や絶望を少しでも和らげてくれる本がないかと1冊の本を手に取りました。

そこにはAMHが低いけど妊娠出産した3人の方のコメントが顔写真付きで載っていました。

ひとりの方は20代なのに30代後半の平均数値しかないという方でした。これを見て、「あぁいいよね、その数値ならまだ希望があるよね。若いし心の余裕もあって妊娠もできるよね」、と思ってしまいました。

もちろん、前述した通りAMHの数値は妊娠率を表すものではありません。数値が高くても妊娠しにくい方もいれば、数値が低くても妊娠する方は沢山います。私より若くても、AMHが高くても関係なく皆さん真剣に悩んでいるのも頭では理解できます。

ただこういう時、少しでも安心したくて、自分よりも下の数値の人を探してしまうのです。そういう自分は小さく醜い人間だと思います。人として未熟でお恥ずかしいです。

もうひとりの方のコメントを読み進めると、確か年齢は30代でAMHの数値は0.2、それでも妊娠出産したと書かれていました。

自分より低い数値で不妊治療の末に妊娠出産をした人がいるんだ!

その事実が私の気持ちを少し軽くしてくれ、わずかな希望を持つことが出来ました。また視界が涙でぼやけました。

今思えばこの方にとても救われたなと思います。この時わずかでも希望が感じられなかったら、前向きになれなかったでしょう。希望が持てなければ前に進むことは出来ませんから。

希望を持たせて頂き、本当に感謝しています。

そして、私も1日も早く妊娠、出産をして、誰かの希望になれたらいいなと思います。

そのために、頑張ります!

心の整理がつかないまま帰宅。夫に打ち明け感情が溢れる…

本屋を出た私は駅のホームに向かいました。その間も、今後どうすればいいのか、、、と思考を巡らせていました。でも答えは全く出ません。

ここで疑問に思う方もいるかもしれません。どうすればいいのかって、今すぐ不妊治療をすればいいじゃん、と。

すぐに不妊治療という思考にならなかったのは、これまでに私たち夫婦には色々な問題が起こっていたからなのです

セックスレス(夫が拒否)、夫の浮気疑惑、それを認めず話し合いにも応じない夫、住宅ローンは払ってくれているものの生活費は入れてくれない(いくら稼いでいるのかも教えてくれない)夫、都合が悪いことは逃げて向き合ってくれないその言動に不信感が募り、夫の家政婦のような人生は嫌だと離婚も視野に入れて今後どうするか考えている真っ最中だったのです。

夫に対しての不信感はあったものの、完全に嫌いになったわけではなかったので、離婚については迷いもありました。

そんな夫のどこがいいんだ、というご意見も出てきそうですが…笑 実際にそう言われたこともありましたね。

私は現在専業主婦のため離婚に踏み切るのには少々勇気が必要でした。また、夫の言動からのストレスで心が不安定な状態になり心療内科に通っていることもあって、多方面で不安がありました。

しかし、自分の体に問題がないとわかれば離婚して就職、婚活、再婚して妊娠することもできる、と前向きになれるかもしれない。そう思ってのブライダルチェックでした。

私にとっては離婚するための後押しを得るための検査だったのです。

そんな状況でのこの結果。

きっと絶望しない人もいるんでしょうね。でも私は根っからのネガティブ人間。ポジティブに考えようと努力して努力して、やっとポジティブ思考になるような人間です。

心が安定していない時期でもあり、いつも以上にネガティブになりました。だからこそ、これからどうすればいいのかが分からなくなったのです。判断能力も低下していたと思います。

離婚するか、不妊治療するか、卵子の凍結、でもお金の問題もある。。。

離婚して、もし再婚できたとしても、その頃には年齢的に妊娠出産は間に合わないかもしれない。

この人と不妊治療して出産できたとして、不信感は消えないままだからいつか離婚することになるかも。夫がいるのにもう一生、セックスしない人生なんて虚しいし。。。でも子どもは絶対に欲しい。だけど私には時間がない。。。

同じことを繰り返し頭の中でぐるぐる考えて答えが出ないまま、家に帰りました。

帰って夫の顔を見たときに、涙が溢れました。この時、どうしたのかと聞かれてもすぐには答えることが出来ませんでした。

昼食を食べ終え、天気も良かったので私たちは散歩に行くことにしました。因みに夫はフリーランスのため基本的に家にいて自由な働き方をしています。午後に散歩に行くことはよくあり、この日も例外ではありませんでした。

夫に打ち明けて感情が溢れる

散歩の途中で、私は夫に「帰ったら話がある、今日話す時間はある?」と聞きました。

「今日締め切りのものがあるから、それが終わった夜に話そう」と言ってくれました。でも私の神妙な面持ちを見て、「帰ったらすぐに聞こうか?」と言い直してくれました。そして気になったのか、「何?何系の話?」と不安そうに尋ねてきました。「何かあった?誰かに何か言われた?」と色々質問してきます。

これはもしかして?と思い「病気とかじゃないから。私死なないから」と言ってみたところ、ホッとしているようでした。やっぱり何か大きな病気を患ったのかと思ったみたいです 笑 申し訳ないことをしました。

話しているうちにまた、涙が出てきました。

思い切って「子ども欲しい?」と私が聞くと間髪入れずに「欲しいよ!」と夫は言いました。

これまでだったら、そう言われて嬉しかったはずです。でもこの日は、そうだよね、ごめんね、、と心の中で思いました。夫は「そっち系の話か、、、」と言いました。

涙を堪えながら声を振り絞り「私、子ども産めないかもしれない」と伝えました。

夫は歩きながら私の背中をさすり「帰ったら話そうか」と優しく声をかけてくれました。きれいな青空を見上げながら私たちはゆっくりと歩きました。

 

夫婦問題未解決、、、それでも子どもが欲しい!不妊治療に踏み切った話

家につきダイニングテーブルに座りました。先に座った夫の前に、検査結果を置きました。

私は結果の用紙を見せながら説明していきました。

「子宮頸がんや風疹、貧血等は問題なしだったんだけど、この抗ミュラー管ホルモンっていう項目があって、、34歳の平均値は3.4くらいらしいんだけど、私は0.37だったの。これは私に残されている卵子の数を示していて、つまり妊娠できる時間が残り少ないってことみたいなの。」

夫は私の話を時折相槌を打ちながら黙って聞いてくれました。

私は帰ってくるまでに調べたAMHのことや、先生に子どもを望むならすぐに不妊治療をしたほうがいいと言われた事、妊娠できないと決まったわけではないこと、不妊治療の話など、拙い説明をしました。

私は「どうしよう、どうしたらいいか分からない」と思っている気持ちをそのまま伝えました。もちろん私が離婚を考えていることなど夫は知りませんし、それは伝えませんでしたが。

自分が夫を捨てようかと迷っていたのに、検査結果を伝えたら捨てられるのは自分のほうかもとも思っていました。でも彼はこう言いました。

「不妊治療する、これ一択だな。すぐに病院に行こう。今すぐに行きたい気持ち」と言って不妊治療ができる病院を探し始めました。

続けて「体外受精については前調べたことがあって、保険適用になったんだよね。今はまだ思うような収入はないけど、徐々に軌道に乗ってきているし、お金のことで不安に感じているかもしれないけど、お金のことはなんとかするから心配しないで。検査をしてくれてありがとう。今わかってよかった。好きだよ」と抱きしめてくれました。

そして良さそうなクリニックを見つけるとすぐに電話をかけてくれました。

こういう場合、私がかけるのが普通なのでしょうが心が折れかけている私を見て自分がかけると言ってくれました。というより、今すぐに行きたい気持ちが大きくてせっかちになっている感じでした。思い立ったら行動したい、そんな感じの人です。

ここだけ聞くと❝ 良い夫 ❞感がすごいですね。そういうところもあるから未だに嫌いになりきれないのかもしれません。

夫婦問題の話し合いが出来ずにモヤモヤが溜まってはいたものの、この1ヶ月は夫が浮気(一応まだ疑惑)しに行くこともなく、私の心も少しだけ安定しつつありました。彼がもう2度と浮気しないとは思っていませんが、平穏な日々が少し戻ってきていて安心していました。このまま、平穏でいられることを願ってもいました。

病院に電話をかけると、この日の午後は予約制とのことで、初診の場合は予約はできないとのこと。病院には翌日の午前中に行くことにしました。

電話をかけてくれた夫を見て、彼は私との離婚を考えていなそう、、かな?本心はわからないけど、行動は伴っているし信じてもいいのだろうか。。そう思いました。

夫婦の問題に決着がついたわけでもないですし、私の気持ちは完全に固まったわけではなかったのですが、私にとって❝ 子どもが欲しい❞これが第一です。

ひとまず病院に行って相談してみてから決めようと思いました。それと同時に、やっと夫婦で同じ方向を見て動けている気がして嬉しくもありました。もしかしたら一年後には自分の子を抱いているかもしれない、そんな小さな希望が芽生えたような気がしました。

この日から私たち夫婦の関係が何も不安に感じていなかったあの頃に、少しだけ戻れたように思います。

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